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Passive+ あれこれ
温暖地に高気密・高断熱はいらない?
温暖地こそ高気密・高断熱を。
Passive+ の家づくりに関するFAQをまとめました。
質問内容をクリックしていただきますと、内容が表示されます。
Passive+ の各文章にたくさん登場していますが、「Heat20」「G2」「G1」などの名称・単語。もちろん一般の方には中々馴染みのないものだと思います。
Heat20は、簡単に言えば、「省エネで快適な住まいづくりを考えているグループ」で、その省エネで快適な住まいづくりの基準を打ち出しています。
国も品確法で住まいの性能を数字化しようとしていますが、特に温暖地域ではなかなかその基準が低く「省エネ等級4の最高等級」だけでは健康で快適な住まいにはならないのが現実です。
Heat20は、品確法の基準を超えて、健康で快適な家づくりの基準として「G1グレード」・「G2グレード」を定め、その住宅が出来る事を発表しています。
断熱・気密・換気・パッシブデザイン。それぞれたくさんの数値やデータに基づき検証された上で、単にその数字を示すのではなく「その家はどんな住まい方が出来るのか」を提示されている点が大変素晴らしく思います。「コストバランス」に言及されている点も、今後日本に健康で快適な言えば普及していく為にも、必要な事だと思います。
上記は「Passive+」でも大変共感できる部分が多く、発行著書を非常に参考にさせて頂くとともに、プランのの指標として使わせて頂いております。
深刻化の一途を辿る地球温暖化とエネルギー問題。
その対策のために「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」が2009年に発足しました。 HEAT20はその略称であり、呼称です。HEAT20 は長期的視点に立ち、住宅における更なる省エネルギー化をはかるため、断熱などの建築的対応技術に着目し、住宅の熱的シェルターの高性能化と居住者の健康維持と快適性向上のための先進的技術開発、評価手法、そして断熱化された住宅の普及啓蒙を目的とした団体です。メンバーは研究者、住宅・建材生産者団体の有志によって構成されています。(HPより抜粋)
http://www.heat20.jp/index.html
「G1グレード」・・・コストバランスに優れた健康住宅。
Heat20が提案する指標で、「省エネ・環境の質・コストのバランス解」としています。
岡山市(6地域)では、Ua値を0.56 としており、具体的には各地域の冬期間、非暖房室での表面結露などが生じないように住宅内の最低温度を10℃以上に保ち、暖房設備容量・イニシャルコストを確実に低減できるように、H25年基準(省エネ等級4)の住宅と比べて20%程度削減する。としています。
また、コストのバランス解としているように、新築時にかけた性能強化費用が光熱費削減によって最も回収しやすいとしています。
「G2グレード」・・・ゼロエネルギーも見据える環境を重視した健康住宅。
Heat20が提案する指標で、「省エネ・環境の質の最適解」としています。
岡山市(6地域)では、Ua値0.46 としており、具体的には各地域の冬期間、住空間の温度むらを数度以内に保つように住宅内最低温度を13℃~15℃以上に保ち、冬の期間の暖房負荷を平成25年基準(省エネ等級4)の住宅と比べておおむね30%以上削減し、ゼロエネルギーハウスなどの優れた省エネルギーを目指す住まいの推奨水準。
温暖地において、H25年基準(省エネ等級4)の部分間欠暖房モードとおおむね同等のエネルギーで全館連続暖房が可能な水準としています。
窓についてのこだわり・・・Passive+では樹脂サッシ(樹脂スペーサー)にこだわります。
Passive+では、開口部には大きなこだわりを持っています。
外皮性能の強化・断熱性能の強化といえば、断熱材が真っ先に頭に浮かぶと思います。
もちろん断熱材も外皮性能を決める大きな要素なのですが・・・
※H11年省エネルギー基準で建てた「住宅事業建築主の判断の基準におけるエネルギー消費量計算方法の解説」の住宅モデルにおける例で、AE-SIM/HeatによるYKKAP社による計算結果より。窓種:アルミ(複層ガラス)
これは昔のアルミのシングルガラスのモデルではなく、アルミ複層ガラスによる熱損失モデルです。ご覧のように、屋根や壁・床などから出入りする熱より、窓から出入りする熱の方がものすごく多くなっています。
窓を強化するのは、非常に重要で最優先と言っても良いと思います。また夏に入る熱は日射として多く入って来るので、実はコントロール出来ます。パッシブデザインでもあるのですが、庇や簾は非常に有効で、窓から熱が入るのをかなりカットしてくれます。
冬は逆に日射を取りこむ事で、逃げる熱を補います。温暖地域では、高性能な窓を利用して、うまく日射をコントロール南の窓の日射取得が熱損失を上回る事も出来ます。
日本の窓はアルミの時代が長かったと思います。30年前以上に建てられた住宅から、今の省エネ等級4の住宅まで、アルミサッシが使われています。加工性や耐久性が良く、価格も抑えられるのでアルミサッシは非常に優れているとも言えます。
ただアルミは金属でもあるので、熱を伝えやすい材質でもあります。これは断熱上の弱点となるだけではなく、結露を発生させる大きな原因となります。
結露は空気中の水蒸気が、水蒸気でいられなくなる温度になると水滴となって現れる現象なので、完全に防ぐことは非常に難しいですし、防ぐ必要もありません。
冬に快適だと言われる環境(温度20℃・湿度45~60%)にしたときに、窓に結露し始める事が問題であり、逆を言えばその環境内で結露しなければ問題無いとも言えます。
※もちろん、湿度を下げれば結露は発生しにくくなりますが、今度は喉を傷めたり、ウィルスが活動しやすい環境になったり、水分が蒸発して寒く感じやすくなってしまいます。
理科のようなお話しですが、室内温度20度で、湿度を50度にコントロールしたとしても、9.2℃のものがあると、その表面で結露をおこしてしまいます。つまり窓ガラスやフレームが9.2℃を下回るとそこに水滴が滴り始めますし、9.2℃を超えていると水滴とならず結露が発生しないということになります。
要は部屋の中に、温度の低い部分を作らないということが重要です。
Passive+が樹脂サッシ(樹脂スペーサー)にこだわっているのは、断熱性能とこの結露性能です。ガラスの性能だけが上げれば、窓全体としての断熱性能は上がるのですが、フレームに結露弱点を残したままですし、ペアガラスの端(スペーサー)をアルミにするか樹脂にするかは、全体の断熱性能への影響は小さいのですが、ガラスの隅の部分の温度が下がり結露しやすくなります。
塩ビ・プラスティックのイメージが強く、日射ですぐにボロボロになってしまうようなイメージがありますが、実は樹脂サッシは世界中で採用されていて、日本にも古くからあり技術も確立されています。
アクリル層で保護されており、10年経過しても色がほとんど劣化しなくなっています。
工場生産で安定した品質となるのもが可能で、10年補償されるのも樹脂サッシの実績と 品質の証です。
断熱材は何が良いか。コストをまったく考えずに。なら答えは意外と簡単かもしれません。
ですが、コストとその性能まで含めると非常に難しいものがあります。
Passive+では、どの断熱材が良い!ではなく、それぞれのメリット・デメリットを含めて、ライフスタイルとコスト毎にご提案します。
「凄く高性能な断熱材です」「世界最高の性能です」など断熱材の性能自体で表記・宣伝されることもあります。ですが断熱材はあくまで
厚み × 断熱材の性能 = 壁の断熱性能
ですので、「これを使ったら暖かい」「〇〇工法だから暖かい」などというのは宣伝文句でしかありませんので注意が必要です。
これは高性能GW16kグラスウールを使って、屋根断熱をしています。330㎜の厚みで非常に高い屋根の断熱性能を発揮します。
世界最高のレベルの性能といわれる、フェノールフォーム断熱材で同じ屋根の断熱性能を出そうとするなら170㎜の厚みが必要です。
もちろんその厚み同士を比べれば同じ屋根の断熱性能ですが、材料代だけを比べるなら倍以上もフェノールフォームが高くなります。
フェノールフォームは弊社も使いますし、素晴らしい材料ですので、批判しているわけではまったくありません。
断熱材単体の性能を比べたり、適した使い方も違う材料同士単体を比べても意味が無いということです。
グラスウールは昔から使われていて、非常に普及している材料です。その分昔の施工技術や知識で施工したものが多く、その画像だけを使われて、グラスウールは駄目だ。と言われている事も多いです。
「グラスウール・結露」で検索してみてください。
これだけを見るとグラスウールは駄目だ!結露して、ずり落ちて役に立たない。と言われてしまっても仕方ない位酷い状態です。
実際にこの画像を使って、グラスウールを批判しているものも多く見かけます。
ですが、これはグラスウールそのものが悪い訳ではありません。グラスウール自体は性能が高く、安価な素晴らしい材料です。特徴として、空気(湿気)を通す材料というだけです。
なので、湿気を入れっぱなしにすれば、冬冷やされた外側の壁の部分で結露してしまいます。
そして湿気を出せる作りにしなければ、その水滴がグラスウールの性能を落として、さらにはカビを呼んで、重くなって黒くなって、ずり落ちて検索画像のようになっていきます。
逆に言えば、「グラスウールに湿気を入れないように防湿層をとって、万が一結露したとしても排湿できるような透湿抵抗の低い面材を使って通気の層をきちんと確保すれば」結露する危険は少なくなりますし、万が一結露したとしても、画像のようにカビを生んだりずり落ちたりはしません。
充填したグラスウールに防湿フィルムを施工しています。湿気さえ入れなければグラスウールは非常に優れた材料ですし、万が一の排湿も考えていればなお良いと思います。
これはどの断熱材にも言えますが、長所と短所を理解して、きちんと使うことが大切だと考えます。
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